STOVL 短距離離陸・垂直着陸 2016 10 1

 今週も、ステルス戦闘機F-35の話題を書きましょう。
F-35には、短距離離陸・垂直着陸のF-35Bがあります。
 F-35Bは、垂直離陸もできるはずなので、
多くの人は、垂直離陸・垂直着陸でもよいのではないかと思うかもしれません。
なぜ、離陸の時は、短距離離陸なのかと思うかもしれません。
 しかし、これは、戦闘機としての根源的な問題を含んでいます。
戦闘機というものは、その機能を果たすために、
離陸する際には、燃料を満載し、
さらに、ミサイルや爆弾も満載しなければならないのです。
そうなると、離陸時には、極めて「重量級」になってしまいます。
 一方で、垂直離陸するには、膨大なエネルギーを消費するので、
軽量化しなければならないのです。
そこで、燃料を削減し、ミサイルや爆弾も削減して、軽量化を図る必要があります。
 しかし、これでは、戦闘機ではなく、
戦闘機の形をした「民間機」になってしまい、
戦闘機としての機能を果たすことができません。
つまり、空中戦ができない戦闘機になってしまいます。
もちろん、外見上は戦闘機ですので、威嚇はできます。
そこで、折衷案として、離陸の時は、垂直離陸ではなく、短距離離陸となったわけです。
 ところで、F-35には、空母用として、F-35Cがあります。
F-35Cには、STOVLのような機能はありません。
 そこで、燃料やミサイルを満載したF-35Cは、どうやって発艦するのか。
アメリカの空母の場合は、戦闘機を発艦させるというより、
戦闘機を「射出」するようなものです。
この仕組みを射出機(蒸気カタパルト)と言います。
 こうした「射出」が可能になったのは、
原子力空母には、豊富な蒸気発生量があるからです。
 将来は、リニアモーターを利用した、
電磁式カタパルトになるでしょう。
 ただし、この方式は、膨大な電力が必要となりますが、
原子力空母は、「動く原子力発電所」なので、可能だと思います。

Code One Jet 優良機 2016 9 25

書名 JWings Jウイング 11月号 イカロス出版
    日本初装備のステルス戦闘機F-35が完成

 ステルス戦闘機F-35には、3種類あります。
F-35A(空軍用)、F-35B(海兵隊用)、F-35C(海軍用)になります。
 今年の8月、アメリカのテキサス州にある、
ロッキードマーチン社の工場で完成して、
初飛行した日本向けのF-35の1号機は、
F-35A(AX-1)となります。
 AX-1からAX-4までは、
テキサス州の工場で製造され、
AX-5からは、三菱重工の小牧南工場で組み立てられます。
 この雑誌によると、
日本で最初に見ることができるF-35は、AX-5になる見込みだそうです。
 AX-1からAX-4までは、完成後、
アリゾナ州の空軍基地に送られて、
そこで、航空自衛隊のパイロットが飛行訓練を行うことになります。
 さて、F-35は、ステルス戦闘機なので、
日本の空の防衛の概念を変えることになります。
 ステルス戦闘機の基本は、
敵に気づかれることなく、
遠距離から「視程外射程のミサイル」を発射して決着をつけるというものです。
つまり、接近戦闘に入るのを避けるのが、ステルス戦闘機の基本です。
世界の趨勢も、「視程外射程のミサイル」が主流となっていくでしょう。
 そういうわけで、F-35は、F-15のように「接近した空中戦」を想定していないかもしれません。
あるいは、近距離まで接近して、未確認飛行機を威嚇するのも不向きかもしれません。
 そのうえ、F-35は、戦闘爆撃機なので、
爆撃の性能は、優れたものになっていくでしょう。
 そうなると、日本の国防指針の「専守防衛」と矛盾するかもしれません。
もちろん、F-35に、「視程内射程のミサイル」を装着すればよいのですが、
これは、ミサイルの「外付け」となりますので、
ステルス性能が低下してしまいます。
 そこで、日本では、国産のステルス戦闘機「心神」の開発が進んでいて、
「心神」が、優れた「接近した空中戦」性能を発揮すれば、
専守防衛という指針にも合致していきますが、遠大な話です。
そもそも、ステルス戦闘機の登場によって、専守防衛という概念は時代遅れになったでしょう。
 ところで、F-35の特徴は、データリンクです。
あらゆる軍事的資源とデータリンクして運用されることになるでしょう。
 つまり、F-35は、コンピューターネットワークが空を飛んでいるようなものです。
あるいは、コンピューターの手足が空を飛ぶようになったとも言えるでしょう。
そういうわけで、軍事のコンピューターネットワークの整備が非常に重要となります。
































































































スマートフォンのトップページへ